Xiaomiよりフラグシップ機のXiaomi 12T pro(以下12T)が日本国内で発売されました。昨年発売したXiaomi 11T pro以来の日本国内でのフラグシップ機となるため、どのようなスペックになっているかを見ていきます。
Xiaomi 12T Pro良い点
Xiaomi 12T Pro悪い点
10万円超えの本体価格
グローバル版の価格が約85,000円で日本版と20,000円の差があります。
技適とFelicaの違いが価格差になっており、今までのXiaomiなら悪くてもグローバル版と同じ価格になっていたと思えるだけに残念でしかありません。
ここからは、スペック表の項目別に解説していきます。
外観
ディスプレイ面はセンターパンチホールを採用しており、Xiaomiでよく見るデザインになっています。
背面はXiaomiのロゴとカメラで構成されており、3眼カメラを採用しています。
ブルー・ブラックの2色で本体色は構成されており、ホワイト系はありません。
スペック
Xiaomi 12T pro | |
---|---|
本体 | |
SoC | Snapdragon 8+ Gen 1 |
サイズ | 163×76×8.8mm |
重量 | 205g |
ディスプレイ | |
ディスプレイサイズ | 6.7インチ |
パネル種 | 有機EL |
解像度 | 2712×1220 |
リフレッシュレート | 120Hz |
タッチサンプリングレート | 480Hz |
記憶領域 | |
メモリ | 8GB/8GB |
ストレージ | 128GB/256GB |
micro SD | なし |
カメラ | |
背面メインカメラ | 200MP |
超広角カメラ | 8MP |
マクロカメラ | 2MP |
前面カメラ | 20MP |
ネットワーク | |
3Gバンド | 1/2/4/5/6/8/19 |
4Gバンド | 1/2/3/4/5/7/8/12/13/ 17/18/19/20/28/38/39/ 40/41/42 |
5G Sub6 | 1/3/28/41/77/78 |
WIFI | 802.11 a/b/g/n/ac/ax |
Bluetooth | 5.2 |
SIM | nanoSIM/eSIM |
機能 | |
生体認証 | 顔認証/画面内指紋認証 |
防水/防塵 | IPX3/IP5X |
イヤホンジャック | なし |
Felica | あり |
スピーカー | デュアル |
バッテリー | |
バッテリー容量 | 5000mAh |
充電速度 | 120W充電 |
ポート | USB TypeC |
価格 | 109,800円 |
付属品
USB Type-Cケーブル・ACアダプター・保証に関するお知らせ・クイックスタートガイド・ソフトケース・保護フィルム・SIM取り出し用ピン
最低限必要なものが揃っています。
120W対応のACアダプターが付属しており、別途購入すると数千円はするものが付属していることは嬉しいところです。
本体
性能が高すぎるSoC
AnTuTuベンチマークで100万点を突破するSnapdragon 8+ Gen 1を搭載しています。
Snapdragon 8+ Gen 1の性能をフルに活用できるアプリは無く、高性能が必要になる「原神」の最高画質でも問題なく動作するでしょう。
Snapdragon 8+ Gen 1は用途が限られ、オーバースペックと言ってもよく、発熱対策が重要になってきます。
冷却能力に不満
発熱量が多くなるSnapdragon 8+ Gen 1に搭載する冷却システムとしては弱いとしか言えません。
一世代前のSnapdragon 8 Gen 1を搭載した、POCO F4 GTのベイパーチャンバー(以下VC)が4,860平方ミリメートルの面積があり、12Tは3755平方ミリメートルしかありません。
発熱量が同じと仮定した場合、12Tの冷却システムはPOCO F4 GTに劣ることになります。
最低でも、POCO F4 GTと同じ仕様が欲しかった所でしょう。
Xiaomiでは標準のサイズと重量
6.7インチのディスプレイは、Xiaomi標準サイズより0.03インチ大きくなっています。
女性には大きく思えるサイズで、男性でも人によっては大きく思える場合があるでしょう。
本体重量の205グラムは少し重い可能性があるため、重く感じる場合は軽い保護ケースを使用することで軽量対策を行いましょう。
性能が高すぎるSoCを搭載することで発熱量が問題になってきます。
冷却システムに工夫がなく、発熱によるSoCの性能低下は避けらないでしょう。
ディスプレイ
6.7インチの有機ELディスプレイを搭載
6.7インチのディスプレイは大きく使い勝手が良い反面、本体サイズが大きくなります。
発色の美しい有機ELパネルを採用しており、Xiaomi製スマホの標準ディスプレイサイズより、0.03インチ大きくなっています。
有機ELは、高輝度で同じ画面を長時間連続表示すると焼き付く可能性があるため、注意が必要になります。
高くなった解像度
一般的なAndroidスマホより、解像度が約10%上がっています。
6.7インチのディスプレイで解像度が高くなってもメリットが少なく、解像度が高くなった分の消費電力が増えるデメリットがあります。
小さなディスプレイで表示の密度を上げると、1画面に表示される情報量が増えます。
しかし、情報量が増えることにより文字や画像が小さく表示され、見にくい場合は拡大する必要があるため、解像度が高くなったメリットがありません。
リフレッシュレートとタッチサンプリングレートは満足
120Hzのリフレッシュレートは残像が残る可能性が低くなり、多くの場合で困ることは無いでしょう。
タッチサンプリングレートも480Hzと高く、ゲームでも十分活躍できる性能になっています。
解像度が高くなるメリットが少なく、その他の機能はフラグシップ機に相応しい性能になっています。
記憶領域
ストレージが選べるも・・・
128GBと256GBのストレージ容量を選択できますが、256GBモデルはソフトバンクの専売になっており、家電量販店等では購入はできません。
256GBモデルを購入する場合は、ソフトバンクで新規契約・機種変・移動機での購入となり手間がかかります。
しかし、動画やアプリを大量に保存しない場合は128GBモデルで十分な容量があり、容量不足の場合はストレージから移動できるものはオンラインストレージに移動することで、ストレージの圧迫を防ぐことができるでしょう。
数年はメモリーで困らない
近年は6GB以上のメモリー容量が必要になっており、いずれは8GB以上が必要になると思われます。
その時が来ても12Tは問題なく利用することが可能で、少なく見積もっても発売日から3年はメモリーで困ることは無いでしょう。
microSDが利用できないのは痛手
ストレージのところで解説しましたが、256GBモデルがソフトバンク専売になるため、多くの場合は128GBモデルを購入することになります。
ストレージの圧迫を防ぐためにオンラインストレージを利用する可能性があり、microSDが利用できるならオンラインストレージが無くても対応できます。
できることならmicroSDを利用できるようにして欲しかったです。
ソフトバンク専売の256GBモデルと、一般販売の128GBモデルに別れており、256GBモデルが容易に購入できないところは残念です。
カメラ
200MPのメインカメラは必要?
12Tの大きな特徴は、200MPを搭載したメインカメラです。
Xiaomi製スマホのカメラはチューニングが悪く、画素数が増えても同じと言えるでしょう。
200MPのカメラを搭載していますが、写真の出来栄えは他のXiaomi製スマホと変わらないように思えます。
画素数が増えた事により拡大した際の粗さが少なくなる反面、ファイルサイズが大きくなるデメリットがあります。
Xiaomiは画質に拘るのではなく、画素数を増やすことに拘っているのでは無いかと思えます。
望遠カメラが非搭載
近年はフラグシップ機のみが望遠カメラを搭載しています。
しかし、12Tはフラグシップ機でありながら望遠カメラが無く、望遠カメラを搭載していない点は残念です。
画素数が増えた前面カメラ
最大16MPの前面カメラが多いAndroidスマホの中で、20MPを採用している機種は異例と言えます。
前面カメラの画素数が少ないため、自撮りをすると画質の粗さが目立ちます。
しかし、画素数が増えることにより画質の粗さが軽減されるため、前面カメラに20MPを採用することは良いことだと思います。
メインカメラの200MPが必要になる場面があるのだろうかと思わせるほどの性能になっており、オーバースペック感は否めません。
ネットワーク
日本国内4キャリアに対応
4G・5G共に日本国内4キャリアに対応しています。
5Gに関しては、超高速のミリ波には非対応で、sub6のみの対応となります。
日本国内での利用に関しては、4G対応エリアが減少しない限り、5G非対応エリアでも支障はありません。
最新規格に対応のWIFI
最新規格の11AXに対応しており、WIFIは全ての規格に対応しています。
11AXに対応しているルーターと接続することで高速通信が可能となりますが、11AXに非対応の場合でも11ACに対応しているルーターなら買い換える必要はありません。
理論値は11AXの通信速度が圧倒的に速くなっていますが、実効値は理論値ほど速く無く、大容量の通信を行わない限り大きな差を体感することはありません。
Bluetoothは5.0以上で十分
Bluetooth5,1以上の規格に対応するメリットが少なく、5.0に対応しているなら不自由はありません。
12TはBluetooth5.2に対応しているため、問題はないと言えるでしょう。
通信キャリアを選ぶeSIM
シングルSIMでの利用時は考える必要はありませんが、デュアルSIMでMVNOを利用する場合は注意が必要になります。
MVNOはeSIMに対応しているキャリアが少なく、大手ぐらいしか対応していません。
そのため、現在使用しているキャリアがeSIMに対応しているかの確認が必要になるでしょう。
日本国内での利用はキャリアを問わず使用可能で、MVNO利用時には注意する必要があります。
機能
画面内指紋認証に対応
Xiaomiの日本国内販売機種で初となる画面内指紋認証に対応しました。
画面内指紋認証はディスプレイにタッチするだけでスマホのロックが解除できる機能ですが、認証精度と認証速度に問題があります。
認証速度は改善が進み速くなってきていますが、認証精度は側面指紋認証に劣ります。
指紋認証機器が画面内にあることで、すっきりした外観のデザインになるメリットがあります。
防水性能は高くない
8段階中3段階目の防水性能を有しています。
水没に耐えることができない防水性能であり、雨に濡れても大丈夫なぐらいの防水性能になっています。
防塵性能は6段階中5段階目であり、粉塵の侵入をほぼ防ぐことができる性能になっています。
日本向けにFelicaは必須?
Felicaを搭載しており、おサイフケータイが利用できます。
近年ではバーコード決済を利用できる店舗が多くなってきているため、おサイフケータイが無くても不便な場面が減ってきています。
レジでスマホをかざすだけで決済できるのは、あれば便利な機能です。
Felicaを搭載することでコストが上がるため、使わない人には価格が上がるデメリットになります。
迫力のデュアルスピーカー
スピーカーを2基搭載するころで、スマホを横持ちにした状態で左右から音が聞こえます。
簡易的なステレオスピーカーの場合は、受話口から音が流れるため音質は良くありません。
更に、音に違和感があります。
デュアルスピーカーの場合は、同性能のスピーカーが左右に搭載してあり、そこから音が流れるため、音質が良く違和感もありません。
画面内指紋認証は賛否が分かれますが、フラグシップ機に相応しいシステムを搭載しています。
良い音を望む場合は、デュアルスピーカーが必要になるでしょう。
バッテリー
大容量のバッテリーを搭載
SoCの性能と解像度が上がっているため、大容量のバッテリーが必要になってきます。
5000mAhのバッテリー容量は、1日中スマホを使用するような事を行わない限り、1日は余裕でバッテリーが持つでしょう。
約20分でフル充電が可能
120W充電に対応することで高速充電が可能になっています。
しかし、急速充電を行うとバッテリーへの負担が大きくなり、バッテリーの寿命が短くなるデメリットがあります。
バッテリーへの負担を減らしたい場合は、30Wぐらいの充電に留めておくほうが無難です。
5000mAhのバッテリーを約20分でフル充電できますが、充電速度と引き換えにバッテリーの寿命が短くなります。
総括
SoCの性能を維持するためには、冷却性能はSoCの発熱に見合っていなければなりません。
しかし、冷却性能は高くなく、SoCへ負荷をかけ続けると発熱が大きくなり、SoCの性能低下へ繋がります。
カメラの画素数を上げるメリットが少なく、Xiaomi製スマホはカメラのチューニングに疑問があり、カメラ性能を求めるならGalaxyを購入したほうが間違いはありません。
価格に見合うスペックとは言えず、Xiaomi 12T proはコスパが悪い機種と言えるでしょう。